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「CAMBO.DEAR (親愛なるカンボジア)」(youmeさん)第15回「カンボジアに現れた『白い象』」民話を絵本にし子供たちに託すローカルNGO
- 2004/2/10
- CAMBO DEAR(親愛なるカンボジア)(youmeさん), フォトギャラリー
「CAMBO.DEAR (親愛なるカンボジア)」(youmeさん)第15回「カンボジアに現れた『白い象』」民話を絵本にし子供たちに託すローカルNGO
アジア一帯で『白い象』と言うと、それはとても特別な意味を表す。そして、『象』にまつわる様々なお話は昔から伝えられている。カンボジアに『白い象』という民話がある。
貧しくても心の良い洗濯屋がこつこつと働き裕福になっていくが、近所の陶器屋の男がそれに嫉妬し、洗濯屋の男を陥れようとする。それぞれ王様から好かれ守られており、ある時、陶器屋の男が王様に「洗濯屋の男がほとんど黒に近い灰色の象を白くする魔法の術を知っているそうです。もしか、王様が白い象に乗ることが出来たら、王威は最高に達し、国も国民も豊かで幸せに暮らすことになるでしょう」と告げる。王様は当初、半信半疑だったが、それを信じて、洗濯屋を呼び寄せる。
王様からの命令を聞き、洗濯屋は「王様、あなたの申しつけ通りにするのは簡単です。私が必要なのは象を洗うための大きな素焼きの器です。それを用意出来るのは、私の近所の陶器屋の男だけです」と言う。それを聞き、王様は早速使いの者を陶器屋の男に送る。陶器屋の男は自分の企みを知って洗濯屋がそう仕向けた事に気付くが、王様の命令に従う。そして、家族、親戚、知り合い総出で、素焼きの大きな器を作り上げた。それを王宮に持っていき、いよいよ象を器に入れるが、象が暴れ壊れてしまう。今一度と、また新しいのを作るが、度々失敗。命令を受けてそれが達成できなかった者を王様は決して許さなかった。最終的に陶器屋の男は財産も友だちも失い、王様からも仕事を止める様に命令されてしまう。最後には、国外追放を言い渡された男を洗濯屋が助ける。
というのがカンボジア民話『白い象』のあらすじである。
今回は、このお話の紹介ではなく、『白い象』と言うカンボジアのローカルNGOについてのお話し。プノンペンに高級感のある店が立ち並んでいるのが240ST。欧米人好みの店が軒を連ねている。そこで今回発見したのがDomrei Sor(白い象)である。ここには子供向けの絵本が売られていて、店内には絵本がずらりと並んでいる。
(写真):240stにあるDomrei Sor、洒落た店構えになっている。
このDomrei sor(白い象)は、カンボジアのローカルNGOで、現在フランス人とカンボジア人のボランティア7名で運営されており、カンボジアの民話を子どもたちに広めようと98年に活動を開始した。フランス語と英語の絵本がそれぞれ一冊売れると、カンボジアの絵本を10冊印刷出来ると言う事になっている。一番最初に出した絵本が先にあらすじをご紹介した『白い象』で、そこから団体の名前を取ってDomrei sorとした。
絵本はクメール語、英語、フランス語に訳されており、唯一日本語に翻訳されているのが『ナタ殿下』と言う絵本。これほどの本が揃っているので、「外国からの絵本の寄附も受け付けているのですか?日本の絵本はどうですか?」と尋ねると、「日本語だと翻訳されてないと分からないので…」とディレクターのプルウングさん。
(写真):Domrei Sorが一番最初に作った絵本。「もっと、綺麗な絵本を作りたいといつも思っていた」と言うディレクターのプルウングさん。
子どもが自由に出入りして置いてある絵本を読んで行けるスペースもあり、日本の絵本でもクメール語に翻訳されてここに置かれていたら、カンボジアの子どもたちが日本のお話に触れる事が出来る。自分の子どもの頃を振り返ってみると、初めて文字を読む練習をした時に使ったのがやっぱり絵本だった。それは『ブレーメンの音楽隊』という絵本だったが、カンボジアの子どもたちが初めて読んだ本の中に、一つでも多く日本のお話しがあったら素晴らしいだろうな…と女の子が一生懸命絵本をめくってる姿を見て思ったのだった。
(写真):Domrei Sorで絵本を読んでる女の子
写真と文: youme.
*Domrei Sorでは民話出版の協力を募っているそうです。
Domrei Sor(白い象)
#41 Eo, Str.240, sangkat Chey Chomnas Khan Duan Penh, Phnom Penh, Cambodia
Tel: 855-12-932-652
(写真):Domrei sor出版による絵本。左からら『白い象』『どうしてどうぶつにはしっぽがあるの?』(クメール語、フランス語、英語あり)『ナタ殿下』(日本語あり) <*写真画像データが消えたため、後日再掲載予定>