「祈りの環~ミャンマー」(後藤修身さん)第2回「托鉢」

朝は紅い僧衣をまとった僧侶の姿と共にやってくる。

まだ日の昇る前、足早の僧侶の一団と出会った。托鉢に向かう素足の一団だった。僧衣の擦れる音か足音か、サッサッサとかすかな音をたてていた。家々では托鉢僧のために毎朝余分にごはんを炊く。僧侶たちは音もなく家の前にやってきて、何も言わずに去っていく。家のものも無言で食べ物を差し出す。

それらを見ていて、なぜか気持ち良さを感じた。そこには、「あげる」「もらう」といった感情は介在していなかった。あるのは静な時と祈りであった。

(写真・文: 後藤修身さん) 2000年8月号掲載

毎朝来る僧侶は決まっている。ヤンゴンにて

漆でできた托鉢用の鉢。
チャウメにて

ようやく空が明るくなり始めた頃、少年僧の一団と出会った。チャバタウンにて

昼食時、托鉢で得た食べ物を手に、食堂に向かう。
アマラプラ、マハーガンダーヨン寺院にて

尼僧の托鉢の場合、炊飯したご飯ではなく、米を渡す

参道で出会った少年僧。まっすぐ前を見つめていた。
チャウメにて

曇ったレンズに紅い僧衣がにじんだ

関連記事

おすすめ記事

  1. メコン圏に関する中国語書籍 第3回「云南境内的少数民族」(主编: 谢蕴秋、副主编: 李先绪,民族出版社)

    メコン圏に関する中国語書籍 第3回「云南境内的少数民族」(主编: 谢蕴秋、副主编: 李先绪,民族出版…
  2. 雲南省・西双版納 タイ・ルー族のナーガ(龍)の”色と形” ①(岡崎信雄さん)

    論考:雲南省・西双版納 タイ・ルー族のナーガ(龍)の”色と形” ①(岡崎信雄さん) 中国雲南省西双…
  3. メコン圏の写真集・旅紀行・エッセイ 第23回「メコン街道」母なる大河4200キロを往く(鎌澤久也 著)

    メコン圏の写真集・旅紀行・エッセイ 第23回「メコン街道」母なる大河4200キロを往く(鎌澤久也 著…
  4. メコン圏現地作家による文学 第13回「愛と幻想のハノイ」(ズオン・トゥー・フォン 著、石原未奈子 訳)

    メコン圏現地作家による文学 第13回「愛と幻想のハノイ」 「愛と幻想のハノイ」(ズオン・トゥー…
  5. メコン圏が登場するコミック 第5回 「サイボーグ 009 黄金の三角地帯 編」(石ノ森章太郎 著)

    メコン圏が登場するコミック 第5回 「サイボーグ 009 黄金の三角地帯 編」(石ノ森章太郎 著) …
  6. メコン圏題材のノンフィクション・ルポルタージュ 第15回「消え去った世界」あるシャン藩王女の個人史(ネル・アダムズ 著、森 博行 訳)

    メコン圏題材のノンフィクション・ルポルタージュ 第15回「消え去った世界」あるシャン藩王女の個人史(…
  7. 調査探求記「ひょうたん笛の”古調”を追い求めて」①(伊藤悟)

    「ひょうたん笛の”古調”を追い求めて」①(伊藤悟)第1章 雲南を離れてどれくらいたったか。…
  8. メコン圏を舞台とする小説 第37回「陽はメコンに沈む」(伴野 朗 著)

    メコン圏を舞台とする小説 第37回「陽はメコンに沈む」(伴野 朗 著) 第37回「陽はメコンに…
  9. メコン圏を描く海外翻訳小説 第8回「外人部隊 ディエン・ビエン・フーの黄金」(ダグラス・ボイド 著、伊達 奎 訳)

    メコン圏を描く海外翻訳小説 第8回「外人部隊 ディエン・ビエン・フーの黄金」(ダグラス・ボイド 著、…
  10. メコン圏対象の調査研究書 第24回「海のシルクロード」中国・泉州からイスタンブールまで(文・辛島昇、写真・大村次郷)

    メコン圏対象の調査研究書 第24回「海のシルクロード」中国・泉州からイスタンブールまで(文・辛島昇、…
ページ上部へ戻る