メコン圏に関する英語書籍 第9回「Along the Maekhong River & the Cambodian Border」( I.Granot 著)(3)

メコン圏に関する英語書籍 第9回「Along the Maekhong River & the Cambodian Border」( I.Granot 著)(3)


「Along the Maekhong River & the Cambodian Border」( I.Granot 著、Benjawan-Travelling Co.,Ltd.(タイ・ラチャブリ)、1999年発行)

本書は英語で書かれた東北タイ(イサーン)の旅ガイドであるが、サイト別のガイドブックという形式ではなく、車による行程全11日間の旅行記のような形式になっている。詳細なロードマップや80枚のカラー写真が付いている上に、各サイトについての詳細な説明や行程についてもいろんなオプションの説明と目標地点への行き方の詳細説明があり、ハンディなガイドブックとしても有用だ。通常一般のガイドブックには紹介されていないスポットをこまめにカバーしているので、東北タイの有名観光地に飽きた人にも役に立つのではなかろうか?ここでは本書で紹介された行程とスポットを3回に分けて紹介する。

東北タイ南部を回り、ウボンラチャタニ・コンチアム・ケマラートから内陸部のコラート平原中心部(アムナートチャルーン、ヤソトーン、ロイエット、カラシン、サコンナコン)を訪ね、メコン河沿いにタートパノム、ナコンパノムを経てノンカイへと、多少きついスケジュールでまわって来た。

 行程8日目は、一日ゆっくりとノンカイの町を見物した後、9日目以降、イサーン最西部を中心に南下しバンコクに戻るコースとなっている。

●行程8日目:ノンカイ見学(ターサデット市場、ポーチャイ寺、ケーク寺など)ーノンカイ連泊
行程9日目:ノンカイ発ー≪国道2号線を南下・国道211号線を西に入る≫-ターボー郡ーシーチェンマイ郡ーサンコム郡(ノンカイ県)-パークチョム郡(ルーイ県)-チェンカーン(ルーイ県)-≪国道211号線・国道2号線をノンカイに戻る≫ーノンカイ3連泊
●行程10日目:ノンカイ発-≪国道2号線を53km南≫ウドンタニーバーンチャンーウドンタニー≪国道210号線を西に50km≫ ノーンブララムプーー≪国道228号線を南西≫シーチョムプー-チュムペーー≪国道201号線を南≫プーキアウーケーンクローーチャイヤプーム泊
●行程11日目:チャイヤプーム発ー≪国道201号線を南≫シーキウ郡(ナコンラチャシマ県)-スーンヌーン郡(ナコンラチャシマ県)-サラブリー

8日目は一日ノンカイの町を見物だ。まずはメコン河に沿ったリム・コーン通りを歩く。ここにはターサデットという船着場とともにターサデット市場があり、ここは中国やベトナムなど近隣諸国の商品も数多く並べられ賑わっている。美しい仏像として有名なポーチャイ寺のルアンポープラサイや、奇抜な像が立ち並ぶワット・ケークなどを訪れる。

翌9日目は、早朝ノンカイを発ってメコン河沿いに国道211号線を西にチェンカーンまで向かう。ノンカイから西に約55km離れたメコン河沿いの町・シーチェンマイ(ノンカイ県シーチェンマイ郡でラオス・ヴィエンチャンの対岸の町)までバンプアン遺跡やターボー(ノンカイ県ターボー郡)に寄りながら足を伸ばす人はあっても、そこから更にメコン河に沿ってノンカイ県サンコム郡、ルーイ県パークチョム郡を経てルーイ県のチェンカーンまで向かう人はそう多くない。本書ではこうしたルートやその途中の見所もきちんと拾っているのは、有り難い。チャンカーンから先のルートに付いては、チェンカーンから南下しルーイの町に泊まって他のルートに進むオプションにも触れてはいるが、翌10日目にウドンタニ近くの先史時代の遺跡で世界中を騒がしたバンチャン遺跡を訪ねるために、ここでは同じ道をノンカイまで戻っている。

10日目、ノンカイからウドンタニ経由バーンチャン国立博物館、ワットポーシナイの遺跡発掘現場を訪ねる。バーンチャン遺跡やウドンタニの大きな町を訪ねる人は多いが、ここから先のルートもなかなか面白い。ウドンタニから更に西に国道210号線を走り、ノーンブアラムプー県に入り、更に南西にチャイヤプームに向かっている。ノーンブアラムプー県、チャイヤプーム県と東北タイの中でも西部に位置し訪れる人が少ない地方を選び、翌11日目も、ナコンラチャシマ県でもナコンラチャシマの町やピマーイなどの有名観光地ではなく、シーキウのレンヒンタット(石の切り出し場の遺跡)やスーンヌーンでのムアンケーク、ムアンカオ、ノンクー遺跡などを訪ねるなど、一般のガイドブックに紹介されていない地方やスポットを回ってみたい方にとっては、最後まで満足できるコースが紹介されていると言えるのではなかろうか?

●ノンカイの主な寺院・遺跡
プラタート・ノンカイ
ノンカイの町の中心部より東に約2.5kmの距離のメコン河内にある遺跡。旗で飾られているが、雨季に水が増量する折は見つけにくいが、土地の人はこの場所を、水の中の仏塔という意味で”チェディ・クランナーム”と呼んでいる。もともと川の流れは現在のものより北側であったが、流れが変わり、岸が浸蝕されて、1847年に寺が河の中に沈んだと伝えられている。

ルアン・ポー・プラサイ
ノンカイの街中のポーチャイ通りのポーチャイ寺に安置されている仏像。王室寺院のこの仏像は、美しい仏陀降魔坐像(平禅座)として有名で、16世紀半ばのランサン王国のセタティラート王が鋳造したが、後にタイのラマ1世が将軍の時代にノンカイに持ち運んだもの。

ワット・ケーク
ノンカイの町から東に約4.5kmの距離にあり、1978年に創建されたヒンドゥ教と仏教の寺。多数の奇抜な像が立ち並んでいることで有名。

プラタート・バンプアン
ノンカイ県ムアン郡ドーンムー区にあるプラタート・バンプアン寺にある遺跡。場所はノンカイの町の中心から22km離れたところにある(国道2号線を南に10km下り、国道211号線を12km西に入る)この古い仏塔遺跡は、約2000年前に仏陀の遺骨を祭るために当時のインド様式で建てられたと言い伝えられているが、建設時期の正確な時期はわかっていない。1559年、ランサン王国のセタティラート王が、古い仏塔の上に新しい仏塔を建設したが、1970年に倒壊、1978年にラマ9世によって現在の姿に再建された。

ルアンポープラチャオオントゥ
ノンカイ県ターボー郡ナムモーン区ナムモーン村にあるナムモーン寺に安置されている仏像。仏陀降魔坐像(平禅座)として有名で、1562年、ランサン王国のセタティラート王が鋳造した。場所はノンカイの町の中心から43km西に離れたところにある。

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