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メコン圏に関する中国語書籍 第2回「西双版纳五十年 1950 – 2000.2 」(中共西双版纳州委党史征集研究室 编、云南民族出版社)
- 2003/5/10
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メコン圏に関する中国語書籍 第2回「西双版纳五十年 1950 – 2000.2 」(中共西双版纳州委党史征集研究室 编、云南民族出版社)
「西双版纳五十年 1950 – 2000.2 」(中共西双版纳州委党史征集研究室 编、云南民族出版社(昆明市)发行、2000年11月)
本書は、2000年に西双版納解放50周年を記念し、雲南省西双版納傣族自治州委員会の批准を経て、州委党史征集研究室と雲南民族出版社が編集し出版した編年史の形式をとった大事記。西双版納全域解放の1950年初から2002年2月までに西双版納で起った50年間の主要な出来事、計1,633件についての記述が、約500頁に及んでいる。内容は政治・経済・社会・文化など多方面にわたり、西双版納のこの50年間の歴史を振り返ることができる。
蒋介石国民党政府からの西双版納の「解放」闘争は、1947年3月の劉昆府の那京起義に始まり、1948年の王少和による易武起義や魯文聡によるMengYang起義を経て、中華人民共和国成立後の1950年2月17日、烏亀山(Menghai県MengZhe)での人民解放軍と国民党軍隊との戦闘で西双版納での国民党部隊の主力が殲滅され、西双版納解放が宣告された。1950年2月末迄に、一部の国民党残党が国外のビルマに逃れ西双版納全域が「解放」される。本書の最初の部分は、こうした国民党との闘い・解放から、1953年1月23日に西双版納傣族自治区が成立するなど、新しい体制整備の過程に関る記述となっている。
ゴールデントライアングル(黄金の三角地帯)の現代史に欠かせない、この国民党残党は、その後も度々中国領内に入り攪乱破壊行動を繰り返してきた様子も、1951年6月の呂国銓が率いた国民党李弥残部隊の騒乱をはじめ1958年8月~9月の騒乱、1960年2月の黒山遊撃支隊などの記録がある。1960年10月1日、中国とビルマ連邦間で国境条約が締結され、国境確定のための中国・ビルマ共同調査隊の活動を保障することもあって両国政府の合意のもとに展開された1960年11月~1961年春のビルマ領に出国しての警護作戦の結果についても書かれている。文化大革命の期間は、今度は国民党残部とラオス右派が西双版納領内に入り攪乱破壊行動を起こしたりしている。文化大革命時には、漢族幹部だけでなく、少数民族幹部も批判され迫害を受けるなど、西双版納での混乱も大きなものがあった。
経済建設に関しては、本書によれば、1999年の西双版納州の国内総生産は、441560万元で、1952年に比べ251.3倍(1757万元)の増大を示している。各種経済施策の実施や農業・工業生産の伸びなどの出来事についての記述も少なくないが、マクロ的な記述だけでなく、例えば1954年には西双版納州自治区初の主に農業機械を生産する機械設備工場である景徳工場が建設されたとか、州での初の水力発電所は1958年から工事が始まり1961年10月に完成した景洪流沙河発電所などといった、各種産業のの製造工場の建設や、エネルギー・交通・通信等のインフラ整備について、個々の工場やプロジェクト毎の情報も記されている。
教育や文化方面の出来事も少なくないが、世間を騒がしたいろんな事件まで取り上げられている。2000年2月23日に起った州輪船公司に係る殺人事件が本書の最後を飾っている。州輪船公司の元副総経理が人事処遇の問題から、新任総経理と党支部書記とその子を射殺したという事件だ。本書巻頭には、西双版納州の現在の党・政府幹部の顔写真(7名の名前は右欄参照)以外に、30枚の写真が掲載されているが、この中には1953年の自治区成立大会の様子や、文化大革命時の景洪の様子など、貴重な写真も収めれている。
州委書記・黄建国氏による西双版納解放50周年祝賀大会での講演(2000年2月16日)が、”回顧総結歴史 建設美好未来”と題し本書冒頭(11頁分)に収められている。当然、中国共産党の活動成果を称えたような文体ではあるが、この文章で西双版納の50年間の流れをまずはつかむことができる。この講演は5つの章に分かれ、それぞれの章のタイトルは、「西双版納的解放和発展」は「統一戦線」、「武装闘争」、「実事求是」、「改革開放」、「党的領導」と離れることができないとなっている。
本書では、更に巻末に「西双版納州五大机関歴届領導班子任職状況」、「西双版納州50年国民経済和社会発展状況簡表」と題した資料が整備されている。「西双版納州五大机関歴届領導班子任職状況」では、中共西双版納州委、西双版納州人大常委会、西双版納州(区)人民政府(人民委員会)、政協西双版納州委員会、中共西双版納州紀委(監委)という5つの重要機関の歴代幹部の名前が記されているが、漢族、ダイ族、回族、イ族、ハニ族、基諾族、ラフ族、ヤオ族、布朗族、白族と、民族名の明記もある。「西双版納州50年国民経済和社会発展状況簡表」では、62の各種経済社会指標について、1949年、52年、65年、78年、80年、85年、90年、95年、98年、99年の数値データが掲載されている。
目録(本書の目次)の概略 (*本書の目次自体では各年の項目に各出来事の題名が記載されている)
前言
回顧総結歴史 建設美好未来 -州委書記黄建国在西双版納解放50周年慶祝大会上的講話(代序)
・1950年(19件)・1951年(14件)・1952年(8件)・1953年(32件) ・1954年(36件)・1955年(18件) ・1956年 (25件) ・1957年(13件) ・1958年(24件)・1959年 (11件)・1960年(13件)・1961年(14件)・1962年 (9件) ・1963年(12件)・1964年 (8件) ・1965年(12件)・1966年(16件) ・1967年 (8件) ・ 1968年 (7件) ・1969年(13件)・1970年(5件) ・1971年(9件) ・1972年(5件)・1973年(16件)・1974年(12件)・1975年(10件)・1976年(9件)・1977年(6件)・1978年(15件)・1979年(20件)・1980年(10件)・1981年(8件)・1982年(16件)・1983年(16件)・1984年(20件)・1985年(14件)・1986年(17件)・1987年(23件)・1988年(31件)・1989年(41件)・1990年(36件)・1991年(36件)・1992年(41件)・1993年(75件)・1994年(90件)・1995年(104件)・1996年(93件)・1997年(99件)・1998年(92件)・1999年(115件)・2000年1~2月(22件)
■本書掲載写真の一部(現在の党・政府幹部)
◆黄建国(現任州委書記)
◆岩庄(現任州長)
◆李勇 (現任州人大主任)
◆王貴生(現任州政協主席)
◆朱黎明(現任州紀委書記)
◆岩罕旺(現任州法院院長)
◆楊汝雲(現任州検察院検察長)
■西双版納州の主要経済社会発展状況データ
・年末総人口(万人) 20.56(1949年)→85.29(1999年)
・農業人口(万人) 21.79(1952年)→59.60(1999年)
・非農業人口(万人) 0.34(1952年)→25.69(1999年)
・国民生産総値(万元) 1757(1952年)→441560 (1999年)
・第1次産業(万元) 1397(1952年)→178213(1999年)
・第2次産業(万元) 132(1952年) →80491(1999年)
・第3次産業(万元) 228(1952年) →182856(1999年)
・地方財政収入(万元) 82(1952年) →31076(1999年)
・地方財政支出(万元) 114(1952年) →56562(1999年)
・耕地面積(ヘクタール) 36242(1949年)→ 112016(1999年)
・全工業総生産(万元) 3529(1978年) →86399(1999年)
・軽工業生産(万元) 2856(1978年) →59235(1999年)
・重工業生産(万元) 673(1978年) →27164(1999年)