「CAMBO.DEAR (親愛なるカンボジア)」(youmeさん)④カンボジア人写真家とアメリカ人抽象画家による【相互作用のある作品】開催に至るまでのエピソード(2)

「CAMBO.DEAR (親愛なるカンボジア)」(youmeさん)④カンボジア人写真家とアメリカ人抽象画家による【相互作用のある作品】開催に至るまでのエピソード(2)

シニス氏とモリーさんがカンボジアから陸路でやって来たのは2002年5月1日。
到着翌日、IMMF(INDOCHINA MEDIA MEMORIAL FUNDATION: http://www.immf.org/)のオフィスへ代表のサラさんを訪ねた。シニス氏は、かつてここのフォトジャーナリズムコースを受講している。オフィスには彼がチェンマイで撮影したモノクロの写真が飾られていて、サラさんは「私の息子」と彼を手厚く迎えた。

因みにこのIMMFはベトナム戦争当時に活躍したフォトジャーナリスト、ティム・ページ氏(写真集レクイエムの編者の一人)によって創設され、インドシナのジャーナリスト育成を目的としている団体である。

 
共同展開催オープニングでスピーチをするモリーさんとシニス氏。(2002年 外国人記者クラブ)

サラさんとシニス氏との再会を果たし、彼らにとって訪タイ第一の目的である写真展開催のミーティングの為、IMMFと同じビルのペントハウスにある外国人記者クラブへキュレーター兼外国人記者クラブの副代表であるジィニーさんを訪ねた。彼女がベトナムへ取材に出かけるし、モリーさんがアメリカに行くと言うタイミングがあり、ミーティングがこの時期になった。

話を進めて行くと、彼らが希望していた8月にはスペースの空きがないと告げられた。それならば他の月でも、とスケジュールを見てもらったのだが、今年中には難しいかも知れないと言う。困った状況に直面していた矢先に「ランチを一緒に」と言ってたサラさんが合流した。状況を知った彼女が「8月に予定していたIMMFの展示は問題が急浮上し無理になったので、是非彼らにスペースを使って欲しい」と申し出てくれた。急なことだったが、彼女の提言で8月の開催が決定。カンボジア以外での写真展の開催実現が叶った瞬間だった。

写真上: 展示中の写真とシニス氏
Reciprocal Worksと言う彼らの共同展のタイトル通り、人と人との相互作用に助けられた。あの場に居合わせた人が一人でも欠けていたら、8月の展示の話はあり得なかっただろう。

数日間の滞在を終えて、彼らがカンボジアへと帰って行く日、朝5時に目覚ましが鳴って起床。 ハートレックからカンボジアへ帰って行くと言う彼らをエカマイのバスターミナルで見送った。8月には家族を連れてやって来ると約束して、バスに乗り込んで行った。

その後、8月の展示開催目前に、彼らが家族を連れて陸路を越えてやって来た。開催日の前日に準備を終えたが、スペースの問題で彼らの全作品を展示出来ず、準備を終えたモリーさんが「あなたにはひょっとしたら迷惑なのかも知れないけど、これ、もらって頂戴」と展示出来なかった作品の一つを手渡してくれた。 

 突然の申し出に「買おうと思っても手が出ないからね…」とお礼を言うと、「あなたが助けてくれたことも、買おうと思っても買えないものなのだから…」と彼女。

写真上: モリーさんと作品

オープニングは8月2日の金曜日の夜に開催され、この展示に関わった人々や家族にはとても記念すべき夜となった。翌朝、Nation紙にインタビューを受け、シニス氏一家、モリーさん夫妻は慌しくその日の夜のバスで、カンボジアに向けて帰って行った。

数日後、プノンペンに戻ったモリーさんからメールが届いた。“We did it!!!!” と始まった彼女のメールは、ネーション紙のインタビュー記事掲載を知らせるものだった。売店へ駆けつけ新聞を一部手にとり、芸術・文化面を開くと、大きく写真入りで掲載された彼らの記事が目に飛び込んできた。

画像上: インタビュー記事が掲載されたNation紙 
1年以上かけた思いを一歩に繋げた共同展開催になったと、記事を読みながら実感し胸が一杯になった。この共同展を通した人との出会いは、ここ最近の中でも極めて貴重なものだった。当初は耳慣れなかったReciprocal Worksと言う言葉の意味が、体ごとで理解出来た様に思う。

10月を目前に、イギリスの友人からメールが来た。“The blackheath exhibtion is still set for October and it should be a good show.” ロンドン市郊外で10月に開催されるシニス氏の写真展について報せるメールだった。シニス氏の写真のみで構成される展示は、このイギリスでの写真展が記念すべき第1回となる。

カンボジア以外での写真展の開催を目標に、色々な人に助けられ着実に希望が実を結んでいる。活動を続け、一つずつ「思い」を実現していくのを体で感じる事が、何より次への活動へ繋ぐ貴重なエネルギー源になる。日本の友人とゆっくりでもいいから進めて行こうと言っている『ヘング・シニス/カンボジアの日々写真展実行委員会』。日本でも彼の写真展開催の夢がいつか叶うといいのだが…。

youme 2002年9月末日

文中のヘング・シニス写真展@イギリスについて、場所は以下で開催されます。
・Blackheath Halls cafe 10月6日~11月3日    オープニング10月10日 http://www.blackheathhalls.com/html/index.html

・現地へのアクセスとマップのあるページ
 http://www.blackheathhalls.com/html/find.html

[ヘング・シニス/カンボジアの日々写真展実行委員会より] 写真展開催(展示予定50点)実現に向けてご協力者・スポンサーを募っております。ご連絡は<youme@mail.goo.ne.jp> ヘング・シニス/カンボジアの日々写真展実行委員会まで。
・ヘング・シニスカンボジアの日々1995-2001  http://members.fortunecity.com/masayoumepress/sinithtitlej.html

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