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メコン圏関連の趣味実用・カルチャー書 第4回「世界一等旅行・タイ」(邱 永漢 監修)
- 2002/9/10
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メコン圏関連の趣味実用・カルチャー書 第4回「世界一等旅行・タイ」(邱 永漢 監修)
世界一等旅行シリーズ 第3弾「世界一等旅行・タイ」(邱 永漢 監修、1989年4月 監修、ザ・トラベル商会出版局)
鼎談メンバー紹介《本書第2部 トライアングル・トーク鼎談メンバー紹介文より:本書発刊当時》
■邱 永漢(きゅう・えいかん)【本書の監修者】
1924年台湾台南生まれ。1945年東京大学経済学部卒業。1946~1954年まで台湾・香港にて銀行員・貿易商などを遍歴、1954年より日本に住む。1955年、小説「香港」で第34回直木賞を受賞。以来、作家、経済評論家、経営コンサルタントとして活躍。著書は200冊以上に及び今や日本で最も売れている作家のひとりである。主な著書に「香港・濁水渓」「食は広州に在り」ほか。最新刊としては、「お金持ち気分で海外旅行」(PHP研究所)「金持ちニッポン論」(毎日新聞社)「株が本命」(実業之日本社)などがある。現在「ab-road」で「旅が好き、食べることはもっと好き」と題して旅のエッセーを連載中。■嵐山 光三郎 (あらしやま・こうざぶろう)
1942年1月10日東京生まれ。国学院大学卒業後、平凡社に入社。雑誌「太陽」の編集長を経て、昭和56年(1981年)独立し、青人社設立「DoLive」創刊。現在、嵐山オフィス主宰。文筆のほか、ドキュメンタリー番組などテレビ出演も数多く、フジテレビ「笑っていいとも増刊号」編集長として人気を博した。著書に「素人包丁記」(講談社)「現代都会語事典」(講談社)「逆鱗組七人衆」(新潮社)など。■カノミタカコ(本名:嘉ノ海 隆子)
京都生まれ。東京芸大音楽学部ピアノ科・慶応大学文学部卒。エレクトーン奏者。タイ国王・王妃両陛下の御前演奏を始め、タイ国での演奏活動を続けるかたわら、タイ山岳民族の麻薬撲滅計画、山岳民族の染織・手芸の調査などで、1年の3分の1をタイで過ごしている。タイ国王より1986年「タイ王冠章」、1988年「白象章」の叙勲を受ける。著書に「タイの山より愛をこめて」(染織と生活社)があり、これはテレビ化されて1989年1月関西地区で放映され、近くタイでも放映の予定。
本書は、”世界一等旅行”(First-class World Travel)と題したシリーズ企画の旅行ガイドブックで、シリーズ第3弾としてのタイ編。本書の出版元は、海外・国内の旅行情報提供やセールスプロモーション支援業務を行なっている(株)ラテラネットワークの前身である(株)ザ・トラベル商会(1990年、創業20周年を機に社名を(株)ラテラネットワークに変更)で、1989年に刊行された。掲載旅行情報などは、1988年12月現在のもので、料金情報など既に時間が経ちすぎ、これからの旅行ガイドブックとしては参考にならない情報も少なくないが、読み物・資料などとして充分楽しめ使えるものが掲載されている。
本の体裁や表紙からは一見普通の旅行ガイドブックのようであるが、本書の面白い内容の一つは、第2部の「タイ通人(つう)の秘密話 素顔のタイ・スペシャル」と題した鼎談(トライアングル・トーク)が30頁にわたり収録されている点だ。タイ事情に詳しい人たちによる、生きたガイド的読み物が用意されている。タイ通人の3人とは、本書の監修者でもある邱永漢氏、嵐山光三郎氏、カノミタカコ氏。話は、タイの魅力から、タイ料理の話を中心に、現地の人の暮らしぶり、タイ王室、タイキックボクシング、メーサイの町、買物などと楽しく展開している。
タイ料理の話では、トム・ヤン・クン、ココナッツ、カレー、パン、スズムシ、ビール、豆腐、ナム・プラー、パクチー、プリック・キーヌー、麺類、建興酒家、屋台、シーフード、フカヒレ、デザートなどと、3人とも食好きのようで、非常に話が盛り上がっている様子だ。買物については、宝石、バッグや靴、瀬戸物、シルバーウェア(銀器)、チークの家具、ビルマの刺しゅう、中国の染付、香辛料、サフラン、蛇の皮、ショール、タイシルク、マットミー、ランの花、サンデーマーケット、」ジム・トンプソン、オリエンタル・プラザなどが話題に上っている。
このトークの中では、山岳民族の染織・手芸の調査のため何度もタイの山岳地帯を訪れているカノミタカコ氏の話はどれも大変興味深い。タイとの最初のかかわりについては、会談の冒頭で以下のように語っている。
”最初に行ったのは30年近く前です《この会談時は1988年12月》。私は芸大のピアノ科だったんですけど、クラスにタイの留学生が入ってきて、自然に仲良くなったんです。そのころ、タイから日本へ留学するというと、とても上流階級のお嬢さんです。その彼女が芸大を卒業して、バンコクでピアニストとしてデビューするのにジョイントを頼まれまして、それでタイについて行った、それが最初ですね。半年くらいいて、一緒に演奏活動していました。それから5年くらいして、王室の方も出席なさる大きなチャリティコンサートに呼ばれまして、そこで王様が作曲された曲を弾いたんです。その時に私のことを気に入ってくださって、以来王様のご一家と音楽上のおつきあいをしていたんです。だから、最初のうちは、山岳民族のことなど全然知らなかった。”
カノミ氏が最初にタイに行かれた頃の話からもバンコクの大変貌振りが知れる。バンコク市内ではクリークが通りごとにあって舟が往来していたし、現在は寂れているニューロードが、名前の通り一番新しい目抜き通りであったとのことだ。日本人も500人くらいしかいなくて、戦前からいる人たちも多かったという時代だ。
本書の第1部では、まさに本書のタイトルにふさわしく、”タイ一等世界”と題して、ホテルは一等気分を味わえるホテルのみ紹介されているが、ホテルだけでなく、グルメ、ショッピングの紹介もきれいなカラー写真満載で、ながめているだけで贅沢豪華な気分にさせられる。バンコク以外では、プーケット、パタヤ、チャアム、ホアヒンといった本格リゾート地が地図付きで取り上げられている。更にチェンマイについては、チェンマイフリータイムとしてチェンマイ市内の観光ガイドが、またバンコクフリータイムとしてバンコク市内の観光ガイドに加え、オリエンタル・リバー・クルーズとアユタヤ観光ガイドも掲載されている。このオリエンタル・リバー・クルーズは、豪華な観光クルーザーとデラックスバスを組み合わせたバンコクからの代表的な1日ツアープログラムで、チャオプラヤー川のクルージングと、船上でのランチ、古都アユタヤの遺跡群や夏の離宮バンパイン観光などが盛り込まれているものだ。
更に本書第3部”旅のノート”として、タイの旅に関わる色々な情報やデータに加え、「覚えておきたいタイ語(簡単な日常会話、知っておくと便利なタイ語、料理に関する言葉)」、「ホテル・レストラン リスト」や「読んで味わうタイ」として22冊のタイに関する書籍名が、紀行・ルポ・エッセイ、歴史・社会・文化、民話・文学の分野から紹介されている。
本書の目次
第1部 タイ一等世界
バンコク
●ホテル ●グルメ ●ショッピング ●オリエンタル・リバー・クルーズ ●バンコク・フリータイム
プーケット
●ホテル ●グルメ
パタヤ、チャアム、ホアヒン
●ホテル ●グルメ
チェンマイ
●ホテル ●グルメ ●チェンマイのフリータイム第2部 素顔のタイ
トライアングル・トーク 鼎談
タイ通人の秘密話 素顔のタイ・スペシャル 邱永漢 + 嵐山光三郎 + カノミタカコ
日本では味わえないタイの果物第3部 旅のノート
出入国ノート 準備編、出発編、入国・現地編、帰国編
タイのお国事情
タイの年間行事と祝祭日
覚えておきたいタイ語
ホテル・レストランリスト
読んで味わうタイ
本書での紹介
第1部 タイ一等世界
●バンコクのホテル
・ザ・オリエンタル・バンコク
・ザ・リージェント・オブ・バンコク
・ヒルトン・インターナショナル・バンコク
・ザ・デュシタニ
・サイアム・インター・コンチネンタル●バンコクのグルメ
・ブッサラカム
・レモングラス
・ソンブン・シーフード(建興酒家)
・サボイ・シーフード
・ホイ・テン・ロウ・リム・ナム(海天楼)
・シャンガリラ(香格里拉酒楼)
・ザ・ノルマンディ
・パエザノ
・サイゴン・ベーカリー・レストラン●バンコクのショッピング
・デザイン・タイ
・ジム・トンプソン・タイ・シルク
・キャプテン・ブッシュ
・ガルダ宝石店
・キング・スーベニア
・ザ・ペニンシュラ・プラザ
・シーロム・ビレッジ
・マー・ブン・クロン・センター
・サイアム・センター
・タイ東急百貨店
・タイ大丸
・ロビンソン・デパート●プーケットのホテル
・アマンプリ
・プーケット・ヨット・クラブ●プーケットのグルメ
・レム・トン・レストラン(金島酒楼)
・カン・エング・シーフード2
・ルーフ・トップ●パタヤ、チャアム、ホアヒンのホテル
・ザ・ロイヤル・ウィング
・ザ・リージェント・チャアム●パタヤ、チャアム、ホアヒンのグルメ
・ロイヤル・ガーデン・リゾート
・ホテル・ソフィテル・セントラル・ホアヒン
・ザ・アンバサダー・ジョムティエン
・ナン・ヌアル・シーフード●チェンマイのホテル
・リンカム・ホテル
・チェンマイ・オーキッド●チェンマイのグルメ
・オールド・チェンマイ文化センター
・ジャスミン