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メコン圏関連の趣味実用・カルチャー書 第9回「ベトナムで見つけた」(杉浦さやか 著)
- 2004/11/10
- メコン圏関連の趣味実用・カルチャー書, 書籍紹介
メコン圏関連の趣味実用・カルチャー書 第9回「ベトナムで見つけた」(杉浦さやか 著)
「ベトナムで見つけた」かわいい★おいしい★安い!(杉浦さやか 著、2000年4月発行、祥伝社(祥伝社黄金文庫)
著者略歴:杉浦 さやか(すぎうら・さやか)
1971年生まれ。日本大学芸術学部在学中に、イラストレーターの仕事を始める。独特のタッチとユニークな視点の書き文字が、読者の支持を集めている。本書は、ベトナム好きの著書が現地を徹底取材し、その魅力をイラスト&エッセイで綴った1冊。著書に『絵てがみブック』『お散歩ブック』(本書著者紹介より;発行当時)
ベトナムに休暇と雑貨買い付けの旅に友人と出かけたベトナム好きのイラストレーターが、ベトナムの魅力をイラスト&エッセイで綴った一冊。ベトナムのいろんな街の風物や現地の人々をかわいく愛らしく描いたイラストが満載だ。文庫版でミニサイズではあるが、イラストだけでなく写真の掲載も少なくなく、著者自身も現地の人たちに交じって幾度か登場している。尚、カルピス(株)が2004年5月から全国で発売開始した新製品「Asian Beau -Tea』ベトナム蓮花茶(500mlペットボトル)のパッケージの裏面には、本書著者・杉浦さやかさんのイラストと文によるベトナムに関するミニ情報が掲載されている。
大学の同級生で東京・高円寺で雑貨店を営む友人との、1997年11月のベトナム初訪問の旅に続く、同じ友人とのベトナム再訪の女性2人旅で、旅行期間は1999年9月25日から10月17日までの22日間。ホーチミン、カントー、ニャチャン、ハノイ、ホイアン、ホーチミンの順で旅し、このうち、メコンデルタ、ニャチャン、ホイアンではひたすら休暇を満喫。ハノイとホーチミンでは雑貨買い付けを旅の主目的にしている。ハノイ、ホーチミンでの著者たちの雑貨買付の様子は、読者のベトナムでの買物情報としても参考になるだろう。
広いハノイでの5日間は、ハノイ郊外の陶器村バチャン以外は、ほぼ旧市街(36通り)のみで過ごしたとあって、観光地や観光名所については記載がない。ハノイのホアンキエム湖北側の旧市街では、家族経営の小さな店が並ぶ古い下町の商店街や様々な種類の路上の商売人たち、それに旧市街にある北のドンスアン市場と南のハンザ市場が取り上げられ、安くてかわいい雑貨の宝庫・旧市街を歩き回って買い付けたものとして、いろんな食器、ベビー服、おかし、洋服、お人形、おもちゃ、ノート、かごなどが、買い物マップとともに紹介されている。
ホーチミンでは、ホーチミン最大の中央市場であるベンタイン市場、街の中心に建つ国営デパートなども取り上げているが、著者たちのホーチミンでの買付のメインは、街の中心からバスで15分、2キロ四方に広がるベトナムの中華街・チョロンのビンタイ市場。売っている物や、ままごとみたいな小さい店が延々と続く雰囲気がおもしろくて、買い物をしていて1番楽しいお気に入りの市場で、ベンタイン市場より流行が遅れているぶん、かえって素朴でかわいい雑貨が見つかるとのことだ。ビンタイ市場での買い物商品として、カゴ、木げたサンダル、化粧品、文具、タオル、食器が挙げられている。
”休暇の旅”編は、カントー、ニャチャン、ホイアンの3ヶ所の旅で、それぞれ1章を設け、カントーでは、旅行代理店シンカフェのメコンデルタツアーやカントー市場、カイラン水上マーケット、ライスペーパー工場見学について、またニャチャンではニャチャンビーチ、沖合いの4つの島を巡るアイランド・ボートトリップ、ダム市場、ニャチャンでのサイクリングについて、ホイアンでは街並み散歩と、それぞれの旅の様子が綴られている。尚、カントーにはホーチミンからバスで、ニャチャンにはホーチミンからハノイ行きの統一鉄道で、ホイアンにはハノイからダナンまで飛行機でそこから車に乗り換えて向かっている。
本書のサブタイトルには「かわいい★おいしい★安い!」とあるように、買い物だけでなく、食べ物や食べ物屋・カフェについてもそれぞれの街ごとに情報が充実していて、食べ物についての紹介はカラー写真付きが多くなっている。また、旅の携帯品・服装や洗濯、宿泊ホテル探し・現地でかかった費用などから、旅行前に作る旅ノートまで、旅を楽しく快適に過ごす実用的な旅のガイドブックにもなっている。旅につきものの、現地の人々だけでなく現地在住日本人や旅行者も含めたいろんな人との出会いや、シクロの金額トラブルや有名レストランで金額をぼられたり、食あたりにあったりと、旅のトラブルについても書かれている。
本書のイラストやエッセイ・コラムも、ハノイの犬たち、ハノイ旧市街の路上に出没する様々な種類の商売人たち、ベトナムの家のかわいい窓、いろんな街でシクロ、かわいくておもしろい本や文具など、いろいろとユニークな切り口で書かれているが、「おばあさんバンザイ」というエッセイには同感だ。”ハノイほどカッコイイおばあさんの多い街はない。その堂々たる存在感、姿勢良くシャキシャキ歩く姿。そしてなんといってもとってもおしゃれ”という著者の観察なのだが、”ハノイおばあさんの基本形”というイラストまで付いている。
本書の目次
まえがき
はじめに
旅のカレンダー/ いつも一緒の旅ノート/ 荷物のはなし/ 参考までにお金のこと/ ホテルを探そう
<コラム1> ベトナム料理入門メコンデルタの旅 カントー
どうやって行く?メコンデルタ/ 2デイ1ナイト・メコンデルタツアー/ ツアーバスはゆく/ ゆらゆらボートトリップ/ メコンデルタの子供たち
<コラム2> かわいい窓
カントー市場の昼下がり/ ホテル”ニンキエウ”/ 夕陽を見に行こう/ カイラン水上マーケット/ ライスペーパー工場/ レモ○グラス事件
<コラム3> 愛しのコムビンザンビーチリゾートの旅 ニャチャン
統一鉄道に乗って/ 海辺のホテル探し/ ニャチャンビーチの一日/ 島巡りツアー
<コラム4> シクロに乗れば
ダム市場/ ニャチャンで食べる/ 海辺のサイクリング
<コラム5> ベトナム・おやつ天国買い付けの旅 ハノイ
ホテル”ゴールデンドラゴン”/ 旧市街・ハノイ36通り/ 角をまがれば/ 花のある風景/ 路上の商売人たち おばあさんバンザイ/ ドンスアン市場/ 旧市街でお買い物/ 楽しく値切ろう
<コラム6> 日本人観光客がゆく
ハンザ市場/ 旧市街の夜/ ゆかいな男たち/ ホアン木エム湖のほとり/ ハノイで食べる/ バチャン焼きの村/ シクロのトラブル/ 夜のカフェ/ サイクリングの思い出/ おまけ・ハノイの犬たちひと休みの旅 ホイアン
ホイアンの休日/ ホテル”ヴィンフン”/ 夕暮れのホイアン/ ホイアンで食べる/ オーダーメイド初体験
<コラム7> 魅惑のアオザイ買い付けの旅2 ホーチミン
サイゴンにやって来た/ ホーチミン・ミニホテル比べ/ サイゴンの日本人/ 国営デパートに行こう/ ベンタイン市場
<コラム8> おみやげ大作戦
中華街チョロン・寺めぐり/ チョロンの街並み/ チョロンで食べる/ チョロン・ビンタイ市場/ 食あたり騒動/ チョロン郵便局/ ホーチミン交通事情/ スコール!!/ 小さな遊園地/ ホーチミンのカフェ/ ホーチミンで食べる/ 路上のグルメ/ レックスホテルの夕べ/ 本屋大好き/ ビアホイで乾杯!/ ミニ歌謡ショーを観にゆく/ タンダの田舎道/ 梱包の話
<コラム9> 旅の言葉あとがき
WC’WD
本書で紹介されている食べ物
《ベトナム料理入門》
■ヌックマム ■ヌックトゥオン(大豆しょうゆ) ■米 ■ライスペーパー ■ハーブ
《カントーで食べる》
■くせのないうまいレバー入りフォー■ハーブのシェイク ■カインチュア(CANH CHUA)
《コムザンビン(ベトナムの定食屋》
《統一鉄道で配られた昼食》
■ネムチュア(バナナの葉にきれいにくるまれた、 豚肉を発酵させたソーセージ)
《ニャチャンで食べる》
■ニャチャン名物ネムヌォン ■ブン・ティットヌォン(揚げライスペーパーと甘辛い豚肉、香菜、キュウリなどいろいろのったブン【米粉のブヨブヨした麺】料理) ■バインセオ(ベトナム風お好み焼き)
《ベトナムのおやつ》
■ヤァオア(ヨーグルト) ■バインフラン ■ボンラン ■バインバオ ■チェー ■カフェスアダー ■ワッフル
《ハノイで食べる》
■バインチューイ ■BUN NGAN ■フォー(ベトナムを代表する麺料理) ■ブンチャー(焼肉入りのたれの中に香菜とバリバリの揚げ春巻きブン【米麺で、そうめんみたいでブヨブヨと柔らかい】をつけて食べる) ■チャーカー(雷魚と野菜をカレーみたいな色の汁でいため、ブン、香草、ネギ、ピーナッツを混ぜて食べるハノイの名物料理) ■ブンオック ■ボーラ・ロット
《ホイアンで食べる》
■カオラウ(CAO LAU)(ホイアン名物で、きしめんとうどんの間のようなコシのある米麺)
《チョロンで食べる》
■カニうどん(BAN CANH CUA)■黒胡麻のチェー(CHE ME DEN) ■バインバオ(肉まん)
《ホーチミンで食べる》
■ソイ(XOI:おこわ)■チェー(CHE)■チャーゾー ■バインベオ ■バインボッロック ■フーティウ(HU TIEU)(うずら卵、レバー、エビなど具がたくさん入った南部の麺料理) ■バインミーティット■シントー(フルーツシェイク) ■ビアホイ