旅行記「メコンを漂う 」第1編 雲南省迪慶藏族自治州 編(雨崩村・徳欽・香格里拉)」(和 さん) 第1回 日本からメコン川の上流と雨崩村を目指して

旅行記「メコンを漂う 」(和 さん)
第1編  雲南省西北部・迪慶藏族(デチェン・チベット族)自治州 編 (雨崩村・徳欽・香格里拉)(2017年9月、9日間の旅)第1回 日本からメコン川の上流と雨崩村を目指して

ペンネーム:和
1996年に初めて長期旅行をして世界と出会い、訪問国は70ヶ国を越えました。 メコン川との出会いは1996年1月。タイからカンボジアに向かうフライトから見た、カンボジアの大地を蛇行しながら流れる大河に目を奪われました。メコンのほとりに立ったのはその1年後のタイ。メコンの向こうはラオスです。 ナイル川のように壮大な歴史を湛えるわけでもなく、ガンジス川のように聖地でもなく、タイの田舎の街を流れるメコンにその時はさほど心を動かされませんでした。でも、東南アジアを旅するとしばしば目にするメコンにいつのころからか親しみと安らぎを感じるように。それから何度となくメコンのほとりの街を訪れ、あるとき気づきました。国や民族を越えて、人々の日常の中を人々の生活を支えながら、ただ当たり前に流れるメコンに私は惹かれていると。メコンと共にある日常を垣間見る。そんなメコンを漂う旅をご紹介します。福井県鯖江市在住。

日本から雨崩村(雲南省迪慶藏族自治州徳欽県)までの往復行路

旅のルート(往路):
上海浦東空港で入国 (リムジンバス)→ 上海虹橋空港 (空路)→ 昆明空港(シャトルバス)→昆明駅 (鉄道:夜行列車・列車泊)→ 麗江 駅 (市バス)→ 麗江バスターミナル (長距離バス) → 香格里拉 着(宿泊)→香格里拉の郊外観光→香格里拉(宿泊)→香格里拉バスターミナル(バス)→ 徳欽バスターミナル(ミニバス)→ 飛来寺(ユースホステル宿泊)(ミニバス)→ 西当村 (徒歩)→ 雨崩村(簡易宿宿泊)
旅のルート(帰路):
雨崩村(徒歩)→西当村(帰路で出会った中国人の自家用車)→飛来寺地区(宿泊)(ミニバス)→徳欽(バス)→香格里拉(宿泊)(宿による送迎)→香格里拉空港(空路)→昆明空港(空路)→上海空港(上海宿泊)(地下鉄)→上海浦東空港

前日まで登るかどうか悩んだ雨崩村まで行ってきました。この旅行は、そもそも「メコン川の上流を見てみよう」と思い立ち、チベット自治区に入る手前にある、メコン川が近くを流れる徳欽という街を知ったのが発端でした。文化圏的にはもうチベット。雨崩村は、徳欽から谷を下ってメコン川(「瀾滄江」と呼ばれています)を渡り、3700mの峠を越えたところに位置します。正直、かなりきつかった。

高山病対策として昆明から陸路で香格里拉に向かったにもかかわらず、最初の街ですっかり高山病に。宿のお兄さん(かなり年下だけど)にすっかりお世話になりました。こういう時に人は恋に落ちるのだろうか、と思ったくらい、大切にしてもらいました。そして彼にもらった高山病の薬で復活して雨崩村へ。2,600mから峠まで平坦な場所ほぼなしで登り続けるハイキングでは、道中で出会った若い中国人旅行者たちが、言葉も全く通じないうえに遅い私を置き去りにすることなく、明るく声をかけ続けてくれました。

到着した雨崩村は、梅里雪山を望んだりそこを拠点に滝や湖へとハイキングしたりするので有名だけど、時間のない私はどれも拝めず。
でも流れる雲のもと、車がまだ存在しない雨崩村は魅力的で、何より励まし続けてくれた中国人の新しい友人たちと、達成感と雄大な景色を共有できることが幸せでした。だいたい私が見たかったのは雪山ではなくてメコン川。そのメコン川は、これまで見たことのない細さで茶色く濁り、大好きな東南アジアの国々へと流れていきました。幸せといえば、この地域はキノコがたくさん採れるそうで、8月が松茸の時季だとか。9月もまだ生の松茸を出すお店があって、松茸でお腹がいっぱいになるくらい食べてきました。

日本から雨崩村(雲南省迪慶藏族自治州徳欽県)までの交通手段

旅のルート:
上海東浦空港で入国 (リムジンバス)→ 上海虹橋空港 (空路)→ 昆明 (鉄道)→ 麗江 駅 (市バス)→ バスターミナル (バス) → 香格里拉 (バス)→ 徳欽 (ミニバス)→ 飛来寺 (ミニバス)→ 西当村 (徒歩)→ 雨崩村

帰りは行きと同じ手段で香格里拉まで戻り、香格里拉から上海は、昆明で乗り継いで空路です。日本からは昆明往復の中国東方航空を取ったので、香格里拉から昆明の航空券を買い足さなければなりません。公式サイトで検索すると、中国東方航空も他の小さな航空会社も結構高い。いろいろ調べてみたら、Ctrip (現Trip.com)なるサイトを知り、ダントツ安かったのでこちらで購入しました。航空券を公式サイト以外で買うことがあまりないので正直心配でしたが、Eチケットがすぐに送られてきました。上海での中国東方航空の乗り継ぎは、空港を移動しなければなりません。が、空港間のリムジンバスのチケットは航空会社が出してくれました。間もなく上海着陸(写真下)

昆明からの移動は、やっぱり夜行列車。中国の夜行列車が大好きなので、中国を訪れたら1度は夜行列車に乗りたいし、香格里拉は標高3,160 mもあるので、高山病対策も兼ねて行きは陸路で。昆明空港には夜8時頃に着くので、迷わず夜行列車での移動を計画。が、チケットが心配です(過去に中国の駅で購入した際、ミスを犯したことがあるので)。

ところが鉄道のチケットでも Ctrip が良い仕事をしました!すごいです。手数料たった5元(2017年当時)で、中国の鉄道の切符が買えます。私は昆明→麗江の寝台車を事前に Ctrip で予約。それでも、とっても心配でした。昆明到着は夜だし、発券が間に合うかも心配。でもなんと上海の駅でスムーズに発券!上海虹橋駅(写真下)。広い~~~!


国内線が出る上海虹橋空港は国鉄の駅と隣接していて、飛行機の乗り継ぎの合間に行ってみたら、簡単に発券。中国の鉄道の切符がこんなに簡単に入手できるなんて…。すごいことです!でも割込みと闘いながら列に並ぶのも中国の旅の1ページだったような…。鉄道の旅の始まりです! 一路平安!



軟臥上段がお気に入り。


目覚めると、青空とのどかな風景が広がっていました。


麗江到着後はバスで香格里拉へ(麗江は2回目なのでスキップ)。駅からバスターミナルの移動も情報がなく心配だったけど、市バス&徒歩で行けました。バスに乗る際は筆談で確認し、運転席の横に立って、降りる場所を教えてもらいました。

不安だったすべての乗り継ぎが完璧です。バスターミナルの切符売り場で「Now you can go Shangri-la」と言われたときは、ほっとしたし、すっごく嬉しかったです。しかも上海の駅でも、このバスターミナルでも、服務員は笑顔付き!それにしても公共交通機関を乗り継ぐのって楽しい。
(写真下)バスの車窓より。玉龍雪山かな?

(写真下)虎跳峡を過ぎたあたりの休憩所にて。チベット文化が始まりました。

こうして日本からチベット族の街、香格里拉まで、ノンストップでやってきました。香格里拉の旧市街まで市バスに乗ろうと、バスターミナル近くで座っていた公安のお兄さんに筆談で訊いたら、「歩ける」と返され、素直に荷物を背負って歩きました。「思っていたより遠いし、私も体力落ちたなー」と思っていたら、まんまと高山病の1歩を踏み出してしまっていたようです。

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